前立腺ガンの手術 その 10


前立腺ガンの手術 その 10

『・・・さーん』と声を掛けられたような気がしました。
私は夢の中をさまよっているかのよな感じでしたが
『ハーイ』と答えました。
『手術が終わりましたよ!!』との声に
私は『ありがとうございました。私は生きていたんですね。』と応えました。
どこかで笑い声が聞こえたような気がしました。
そして『生きていたんですね!ですって!!』と誰かが誰かに伝えたようでした。
私の言葉が意外だったようです。

そうです、私は手術が無事に終わって意識が戻ったときに
一番先にこの『生きていたんですね』という言葉を口にしようと決めていたのです。

極、極例外ではあるようですが手術中に息を引き取ると云うことが
無いでは無いことは知っていました。
万一その様な事態になってもいいと思っていました。

80年近くも生きてきたのですから、麻酔がかかったまま、何の苦しみも無く
天国に行けるのならそれも良いのではかいかとの気持ちが多少なりともありました。
『この世に未練は無い』と云うと間違いなく嘘ですが、長生きしても苦しみながら
死んで行くよりも、多少早死にでも苦しみの無い死に方の方がず~と良いと
思っていることは間違いは無いのです。

しかし、私には奇跡?が起きることもなく、手術は順調に、しかも無事に終了したのです。

                                 続く